硬度、透明度といった点で時計のガラスには最も適している素材といえるサファイアクリスタルですが、以前こんな話があったようです。ロレックスの時計がプラスチック風防からサファイアガラスに変わった時、サブマリーナも変わりました。サファイアガラスのサブマリーナをダイバーが、水中でいつもの角度で時計を見るとサファイアガラスが全反射して時間が読みづらく、反射がサメを呼ぶという説もあり、不評だったようでうす。(プロには)少々角度をかえれば大丈夫な話ですが、プラスチック風防に慣れたダイバーには瞬時で時間を読みとるまでには時間を要したかもしれません。実際には陸で使うユーザーが殆んどなのが現状なのでこの不評は少数意見としてかき消されたのかもしれませんね。
これはサファイアクリスタルの屈折率がプラスチック風防より高いために全反射する角度の範囲が大きくなったからです。いつも見ていた角度で見えなかった訳です。面の屈折率が高いほど臨界角との関係で、全反射する角度範囲が大きくなります。ガラス面が動いたとき、ガラス面がキラキラ反射する確率も高くなると言うことです。
ちなみにダイヤモンドの屈折率は2.417と天然宝石の中でも高く、これがダイヤが他の宝石よりも良く光るキラ・キラする理由の一つです。ちなみにサファイアクリスタルは1.762-1.770、時計に使われるミネラル・ガラスで約1.52、プラスチック風防で約1.49(ガラスやプラスチックの値は一定ではない)です。そこでサファイアガラスのキラキラを少なくし視認性を上げるするために、サファイアクリスタルに無反射コーティングを施す場合があります。手元がキラキラしない、光らない方が上品で、そういうメリットがあるとも思います。コーティングされているものはガラスに光源(電球や蛍光灯)を反射させたときガラスに映る光源が薄い紫色になるので解ります。(参考写真:下)コーティングすることでせっかくサファイアガラスの高い硬度のメリットを捨てていると言う考え方もあるようです。お持ちの時計はどちらでしょうか?またお好みは?
光源が反射した時にダイヤルがパープリッシュブルーに映る無反射コーティングされたガラスの例。
サファイアクリスタル編(その3 無反射コーティングの理由)
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