正しいお付き合い方。」カテゴリーアーカイブ

取り扱い説明書の間違い。

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お客様のお問い合せで確かめたところ、間違っておりました。というか日本語訳で誤解を招く表現になっているようです。マスターカレンダー|ご使用方法|巻き上げ方|の一番最初、「リューズをポジション1に引き出します。」とありますが、もともとポジション1です。引き出さずそのままリューズで巻き上げます。

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シースルーバックの現代におけるもう一つの役割とは。

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クォーツムーブメントが既にあるというのに、わざわざ機械式を愛用する。その理由は数々ありますが、美しいムーブメントを眺めることができるシースルーバックは、機械式時計の魅力を引き出す手段の1つであることは間違いありません。1990年代前後から普及しはじめたでしょうか。もうひとつこのシースルーバックには良いところがあります。ムーブメントには地板のある部分(テンプあたり)をルーペかキズミで拡大してみるとメーカー名、キャリバーが刻印されています。ですからこの時計にはどこの会社のどのキャリバーが使用されているか、またはベースになっているか、そして仕上げの程は、シースルーバックの場合一目瞭然。ユーザー側からしたらカタログのスペックをみるより、非常に確実で便利なわけです。もともとはムーブメントを楽しむために考案された物だと思いますが、2002年ETA宣言もあり、機械式時計の価値を決めるを中身が多様化している今日においては、シースルーバックは、時流からして大切な意味を持つと思うのです。
写真は地板の刻印の一例。ノモスはノモスα(手巻き)ノモスε(自動巻)になったタイミングでETAの刻印がNOMOS GLASHUTTEに変わっている。写真上の右RマークはETAに買収される前のバルジューのキャリバーに見られるマーク。買収後はETAになる。

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今日は満月。ムーンフェイズの調整。

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 本日は満月です。ムーンフェイズが満月になっていない方は、今日、満月に調整すると便利かと。通常は、月齢カレンダーを見て今が、満月または新月から何日目にあたるかを数えて、ムーンフェイズの満月または新月から、その日数分を進めます。たとえば満月から6日めなら、時計のムーンフェイズを満月にしてそこから6進めます。ムーンフェイズは一コマが小さいので、ちょっとコツがいるかもしれません。それが、本日(満月の日)なら見た目「満月」にするだけなので楽に正確にあわせることが出来るというわけです。カレンダーの早送りがNGな時間帯がありますが、ムーンフェイズにもあります。ご愛用のモデルのムーンフェーズが変わる時間帯をご存じない方は、取説で確認するか、個体差も多少はあるので、ムーンフェイズをじっと見つめながら針を進めて変わる時間帯を確認してその時間帯の前後3時間ぐらいはNG時間帯と把握したほうが良いかと思います。

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除雪作業時の時計。

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12月からこう雪が多いと除雪作業も日常化してきますが、3気圧・5気圧防水の時計いわゆる日常生活防水の時計は除雪作業の環境では厳しいようです。特にクログラフ等はプッシュボタンに雪が付着してその状態でボタンを押したり、または気づかずに手首でボタンを押すような状況になるとケースに内に水が入りガラスが曇ったりします。この状況は、想定外の使用法で、表示の防水性能とは関係ありませんのでご注意。またうっかり作業中に衣服にひっかけてリューズが出ていたりすると水は入りやすいです。どうしても付けたいなら、クロノならプッシュボタンもロック付き、リューズはねじ込み式が好ましいです。スキーの時も同じですね。

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サファイアクリスタル編(その3 無反射コーティングの理由)

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硬度、透明度といった点で時計のガラスには最も適している素材といえるサファイアクリスタルですが、以前こんな話があったようです。ロレックスの時計がプラスチック風防からサファイアガラスに変わった時、サブマリーナも変わりました。サファイアガラスのサブマリーナをダイバーが、水中でいつもの角度で時計を見るとサファイアガラスが全反射して時間が読みづらく、反射がサメを呼ぶという説もあり、不評だったようでうす。(プロには)少々角度をかえれば大丈夫な話ですが、プラスチック風防に慣れたダイバーには瞬時で時間を読みとるまでには時間を要したかもしれません。実際には陸で使うユーザーが殆んどなのが現状なのでこの不評は少数意見としてかき消されたのかもしれませんね。
これはサファイアクリスタルの屈折率がプラスチック風防より高いために全反射する角度の範囲が大きくなったからです。いつも見ていた角度で見えなかった訳です。面の屈折率が高いほど臨界角との関係で、全反射する角度範囲が大きくなります。ガラス面が動いたとき、ガラス面がキラキラ反射する確率も高くなると言うことです。
ちなみにダイヤモンドの屈折率は2.417と天然宝石の中でも高く、これがダイヤが他の宝石よりも良く光るキラ・キラする理由の一つです。ちなみにサファイアクリスタルは1.762-1.770、時計に使われるミネラル・ガラスで約1.52、プラスチック風防で約1.49(ガラスやプラスチックの値は一定ではない)です。そこでサファイアガラスのキラキラを少なくし視認性を上げるするために、サファイアクリスタルに無反射コーティングを施す場合があります。手元がキラキラしない、光らない方が上品で、そういうメリットがあるとも思います。コーティングされているものはガラスに光源(電球や蛍光灯)を反射させたときガラスに映る光源が薄い紫色になるので解ります。(参考写真:下)コーティングすることでせっかくサファイアガラスの高い硬度のメリットを捨てていると言う考え方もあるようです。お持ちの時計はどちらでしょうか?またお好みは?
光源が反射した時にダイヤルがパープリッシュブルーに映る無反射コーティングされたガラスの例。
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サファイアクリスタル編(その2サファイアクリスタルがダメージを受けるとき)

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基本的に物質にキズがつくときは、その物質より硬度が高いものが接触したときです。一般的に空気中のゴミのなかで硬度が最も高いものはクォーツ・水晶の粉といわれています。水晶は硬度7です。(時計をお手入れするときにクロス等に目に見えないゴミやホコリがついていてその中に硬度の高い物質の粉が混じっているとケースやプラスチック風防等にキズを付ける場合があります。なので、お手入れクロスは拭く側を内側におってたたむとか、ビニール袋に保管するとかしてホコリがつかないように心がけましょう。

話をサファイアクリスタルに戻して、硬度9のサファイアクリスタルに日常においてスクラッチ・引っ掻きキズがつくことはありません。ただし、接触したものの先端が鋭いとき、それに圧力が加わった時は例外です。サファイアクリスタルにキズがついた事例を何度かみていますが、多くは糸のような細いキズです。
実際に注意すべきは、金属等の堅いものに風防(サファイアクリスタル)のエッジにぶつけた時におきるチップ、いわゆる欠けのほうです。デザイン、作りによって風防のエッジがたっている時計はチップする確率が高くなります。

たとえばロレックスオイスターは立っている方で注意が必要です。にもかかわらず、また防水性の高いという安心感から、またブレス仕様ということもあり日常ガンガンのユーザーが多いこともあいまって、オーバーホールの見積り時にこのチップを指摘されてクリスタル交換オプションがつくことが案外多いんです。チップからクヒビからワレへと進行する可能性があります。メーカー修理としては、修理保証をつけますので、防水性に問題があるという理由で交換必至の見積もりがですます。
チップは肉眼で見えないサイズのもの含みますから、見積もりが出て「クリスタルにカケ?そんなはずはないんですが?」という方も多い。なので店頭ではロレックスのお預かり時はルーペでぐるっとクリスタル円周のチェックは必至だと思っています。発見したらルーペかキズミをお貸しするか、店頭のジェムスコープでその場で確認していただくことにしています。
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左:ロレックスオイスター赤い三角部にチップ。 意外と立ち上がっているオイスターのクリスタル。プラ風防だった頃の名残でしょうか?右:ジャガールクルトマスターシリーズ。ベゼル部からガラスの立ち上がりが低くチップしにくいタイプと言える。


左:ノモス AHOI 20気圧防水でありながらケースとサファイアクリスタルの接点はスムーズ。
ノモス AHOIシリーズ
右:ハミルトン カーキフィールドオート 高いコストパフォーマンスはムーブメントだけでなくこういった細部にも見られる。こちらもベゼルからクリスタルの立ち上がりは少ない。
ハミルトンカーキシリーズ

カイラッシュ サファイアクリスタルトラバースサファイアクリスタル
アウトドア使用に特化したスントもカイラッシュ、トラバースアルファといったモデルでサファイアクリスタルが採用されるようになりました。左がカイラッシュ、右がトラバースアルファ、スタイリッシュが売りのカイラッシュでもベゼルと同じ高さ、ミリタリーのトラバースアルファは、一段下げてセットされています。エッチのチップ防止が配慮されたセッテイングです。
スント

高度と強靭性の違い
あるクイズ番組でダイヤモンドを鉄板の上に置きハンマーで思いっきり叩くとどうなるか?という問題があり、実験をやってましたが、答えはこっぱみじん。「硬度」と「強靱性(ねばり)」は別です。高度がダイヤの次のサファイアクリスタルでも条件が重なれば壊れます。

サファイアクリスタルにキズがついたという場合によく見ると表面のコーティングにキズがついたという場合があります。硬度9のサファイアに、どうしてコーティングが必要か…..は、次回。

(2017.7.22  加筆&参考画像追加)

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サファイアクリスタル編(その1,サファイアクリスタルとは。)

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先日、ロレックスをお探しのお客様が、サファイアクリスタルは絶対に割れることはないと、あるお店で販売員から聞いたが本当?と聞かれました。(そんなものがこの世にあればNASAが黙っていないはず….。)正規店でもそんなことを仰って販売しているとは。^^;
そこで、サファイアクリスタルについて段階をふまえて、正しい知識をシリーズでお伝えすることを決意しました。うんちくを語る際の一助になれば幸いです。今回は、そもそも時計に使われているサファイアクリスタルとは…。

 時計に使われている通称サファイアクリスタルは正確に言うとシンセティック(合成)コランダムの中のカラーレス(無色)サファイア、コランダムという結晶は赤以外の変種の場合、頭にその色をつけてサファイアと呼びます。ブルーサファイア、イエローサファイア、バイオレットサファイア、無色はカラーレスサファイア …..ちなみに赤だけはルビーと称します。ムーブメントの何石と表示する軸受けに見える赤い石、受け石は、このシンセチック(合成)・ルビー。話をサファイアガラスに戻しますと何故サファイアが時計のガラスに使われるようになったかというと、第1の理由は世界最強とは言えないまでもその硬度です。モースの硬度表で行くとダイヤが10でだんとつの1位、次に硬度9のコランダム(サファイア)。この硬度はスクラッチ、ひっかき傷、に対する強さを表します。理屈で行くとコランダム(サファイア)はダイヤモンドに接触しない限りキズはつかないことになります。しかし実際は、サファイアガラスも条件によってはキズもつきます。(理屈通りに行かない。世の中はそんなものです。)ちなみに同じコストで同じサイズのダイモンドの合成が人工的にできれば合成ダイヤモンドがサファイアに取って代わるか…というとそれも疑問です。屈折率や臨界角も関係しますので、また割れる割れないという破壊的な話になるとそれは硬度とは別の話です。その辺りは次回。

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