これ動きますか?と年配の方が持ってこられた時計。お〜シチズンコスモトロン。1970年代初め頃、機械式とクォーツの狭間に存在した時計。
まだ現役?ですかと伺ったところ2〜3日前まで動いていたということ。それではと電池交換で動けばいいですね。と早速裏蓋を開けると、ボタン電池とテンプが並ぶ不思議なコンビネーション。
珍しいから写真撮らせて下さいと。カメラを持ってきたら、実はこの時計はこの方のご子息が大学を卒業した時に「お世話になりました」とご子息から贈られた時計だと話していただきました。そのご子息は今60〜何歳だとか。自分は大学を卒業したときそんなこと親にしてなかったなぁ〜と少し反省しつつ、親と子、贈り物としての時計…良いものだなぁ〜っと再認識した次第です。
電池を入れると、テンプが息を吹き返したように動き出しました。
「店頭エピソード」タグアーカイブ
SEIKOの気になるクロック、 KS474M
写真はセイコーのKS474Mというモデル。昭和の香りが漂う超ロングセラーモデル。先日自分用にセイコーに注文し久々に手にとって見てみるとあきらかに現代の掛け時計と違う仕様に嬉しくなりました。ステンレスのボディーに何とも言えないグリーンの塗装。裏蓋は蝶番で3時位置で取り付けられて、時間調整及び電池交換の際には、9時位置のネジを緩めてフタをあけます。防塵とシールが貼られ、取説には「この時計は防水ではありません。」とあります。といっても通常の掛け時計よりは湿気に強そうですが、もともとこの時計は何ようだったのか。
セイコーの部品センターに聞いてみたところ、受付の女性から調べて折り返すとのこと、その後すぐに男性の担当者さんから電話があり「バス時計ですね。」という一言で、ほとんどの謎が解明、やっぱり、小学生のころ親戚に行く為に乗ったバス、記憶にあるのは運転手の背中とこの時計。記憶は正しかったよう。ボディーの色、ケース裏側にある幅広のゴム、防塵の仕様、あの頃はバスは、振動もあり、窓を開けて走ってましたね。
その方に歴史を聞くと手元の資料では、1977年QA513としてクォーツムーブその時は単2電池仕様、それから2007年に今のクォーツムーブメント(単3電池仕様)KS474Mになったそう。1977年以前は、残念ながら資料がないとのことですが、私がバスで見かけたのが小学生だったということういうことが間違いなければ、バス時計はクォーツの1つ前の電池時計、トランジスタームーブ時代もあったことになります。そうなると40年以上は続いていることになりますね。
現在は、国産の掛け時計はほとんど電波受信のムーブメントに変更になってますが、その変更の可能性はあるか聞いたところ、この時計はムーブメントが金属・鎧をきているので電波ムーブメント化は受信の問題でいまのところなさそうとのこと。なるほど。
今のままでお願いします。
二十数年ぶりの里帰り〜重錘式の時計
♪大きなのっぽの〜と歌われるホールクロック、この手の物にはゼンマイ式とゼンマイを持たない重錘式があります。重錘式は錘が重力で下がる力で動く時計。ですからゼンマイを持ちません。ゼンマイがないということはトルクが一定しているので 機械式といえども精度が出ます。パワーリザーブは錘の位置で決まるので、これがのっぽである理由の一つ。重錘式の錘は地球の中心に向かっています。この錘を一週間に1回錘を左手でサポートして右手でチェーンを引っ張るこの作業は必至。
画像左の時計は昨日メンテでお預かりしたセイコーの重錘式ホールロック、チャイム無しの数打ちのみなので機械の見た目はシンプルです。洗浄して注油、振り子の調整をして元気になりました。振り子は地球の自転の影響でねじれてしまうので、ある時期に戻し手やらななければいけません。重力で動いて、地球の自転に影響されてしまう地球と同居しているような時計です。
右の写真は、いつもこの部屋で正確に時を刻み15分おきにチャイムを奏でくれるウルゴス(ドイツ)と里帰りしたセイコーとのご対面。それでその真ん中で鎮座しているのがジャガールクルトのアトモス、こちらは、気温の差を利用してガスの膨張と伸縮で動く時計。なんかこの3人の会話が聞こえてきそうで面白いです。勝手に妄想すると…
22年前に既に実用化していたソーラー時計。
公園のポールや建物の壁面にある大型の時計、あの時計の中には機械は入っていないことをご存知ですか。実は時計の下のポールの中やボックスに駆動器というものがありそれが何メートルか上の大型時計を動かしています。人目に触れることの無い、いわば陰の立役者。写真右のQP-10はつい先日まで現役で時を刻んでいたSEIKOの駆動器。私の父が1985年8月に地元の会社さんの屋外壁面に取り付けた物で、電源は当時画期的な太陽光・ソーラーシステム。初物だったので取り付け当初は太陽光だけでどこまで動くのか不安はあったはずですが、実際は、この22年間蓄電池を2回ほど交換したぐらいで、太陽光のみでづっと時を刻み続け多くの人々に時を知らせていたわけです。先月ついに調子が悪くなり結局セイコーでも修理不能、新型現行機種QP400に交換することになりました。駆動器自体の軽量化が時のな流れを感じさせます。来週現場で取り付作業です。慣れない作業で不安なので、現場でパニクらないよう十分準備して望むつもりです。動かなくなったQP-10の無骨で重い本体を見ていると何故か郷愁をさそいます。ご苦労さんでした。
DI300使いました。
店横の雨樋がどうやらつまったらしく、昨日から雨が溢れいました。本日定休日ということもあり、復旧作業のために屋根にあがるはめに…。
こういう不慣れで危険をともなう仕事は、気合いが大事といぜんから気になっていたDI300を購入して、腕にまいてモチペーションを上げてハシゴを準備。いざ上がってみると結構簡単に作業は終了、雨樋から溢れる雨はおさまり順調に流れるようになりました。こういう仕事は段取りがだいじです。(笑)
形から入るのも大事ですから。考えてみたら作業中時間をみることもなかたくらい早く終わってしまいました。せっかくなので生還したDI300の勇士をパチリ。その姿を見て家内の「リューズ出てるよ」の一言に一瞬あせりましたが、(冗談きついです)そんなハズはありません。エアダスターでプシュトと水分を飛ばしてご苦労さんと労をねぎらい、今日は1日これをつけることにしました。冬の除雪作業時にも活躍しそうです。
(2016.7.24追記)
DI300には、申し訳ないですが、過酷な状況の時はいつもお世話になっています。息子が東北にボランティアに行く際も、何度も使ってもらいました。今月末に2回めのオーバーホールから戻ります。10年酷使したし、これからは少しやさしく使ってあげようかと思います。