どちらもデジタル時計。左は2007年グッチがデザインしたワールドタイム。デジタル表示モードで下段にローカルタイム、上段にセカンドタイムを表示します。右は1960年後半に生産されたSICURA社の通称メカデジ(未使用品)です。この二つ約40歳の年の開きがありますが、何か同じ臭いが…….
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デザイナーの顔が見える時計。
お気に入りの時計は?と聞かれるとブランド名かモデル名を答えるのが普通です。で、その時計をデザインしたのは誰?と聞かれるとかなりのマニアでも答えられない。アランシルベスタインの時計はアランシルベスタインがデザインしています。これがこの時計の最大の魅力でありオンリーワンたる所以です。
ただ今、20年のデザイン変遷を見ようという企画 「LAFORME」開催中です。(8/12まで)発売時期が異なるので同じケースに並ぶことはなかったので、並べてみると、とっても面白いです。ディテールへのこだわりを見つける、細部へ目を凝らしてみるのも面白い。アラン氏いわく「20年前と今と、私が目指すものは全く変わりません。「ピュアライン」と「ハーモニー」の追求です。一環したテーマが貫かれているわけですね。また20年間のデザインの遍歴はアランシルベスタイン氏の人生の遍歴でもあります。だから並べてみても面白いのだと思います。たとえばあるブランドでこういう企画をするとひょっとしたらこの時代はこういうのが流行ったからねで終わっちゃうかもしれません。
どれが好きかと聞かれると、それぞれの良さがあり、難しい。それはケース、サイズ、針、ボタン、ダイヤル、裏蓋、ローター、ビス、カラー、素材など各パーツが、そのモデルの中で調和がとれているからだと思います。デビュー当時のビートルズもビルの屋上で最後の演奏したビートルズも自分にとってはどっちも大好きなビートルズというのに似ているかもしれません。
時計に書かれたメッセージ….
アーノルド&サンのホワイトエンザイン・ネルソンをお買い上げいただいたお客様から、こんな素敵な一文があるメールを頂き、販売した方としては嬉しくて、このエントリーを思いついた次第です。
〜記載されています、英文が非常に味のある解釈が出来る短文章で、
時計は毎日の日常生活に使用し,苦しい時に、英文を読み,頑張りたいと
思います.〜
時計はイギリスの英雄ネルソン提督のトリビューモデルで、ダイヤルに書かれている英文は、1805年トラファルガル海戦の時にネルソン提督が味方艦隊に送った有名な信号、「英国は各自が義務を果たさんことを期待する」です。この信号に艦隊は一つになりフランス・スペインの連合艦隊を撃破します。ナポレオンの侵略から自国を守った英雄というだけではなく、時には上官の命令も無視してしまう破天荒さ、戦いで片目や片腕を失いながらもリタイヤはしない、決して敵に背を向けることがない戦いぶり、そして愛に満ちた人生を送ったところが今も尚イギリス国民、世界中で愛されている所以のようです。(その性格は、同じブリティッシュマスターズ・グラハムでトリビューモデルが作られたダグラスべーダーの性格にも似ていますね。)
アランシルベスタインによると、時計にメッセージを入れることは、古くから時計職人が好んでやっていた伝統的なこと。アランシルベスタインのラバーストラップには「真の幸福は仕事に対する情熱を持つことである」と言う意味の文が書かれています。(実は当店のショッピングバックの横に小さくこの言葉を書かせてもらってます。)
自分のお気に入りの言葉が書かれている時計を腕に巻く、自分のヒーローのトリビューモデルを腕に巻くのは、一言で言うなら「気分が良い」ってことでしょうか。気合いも入ります。気に入った時計を腕に巻く→気分が良くなる→もしかして血液サラサラ効果もあるかも(笑)..きっと…です。
時計店には売っていない時計。スタバの砂時計。
スターバックスは結構好きです。ちょっろとある小物が好きです。今ままでも電動ミルク泡立て器(乾電池式)や小さな木箱入りのチョコレート(木箱が欲しくて…)、ゴム製のコースター、CDなんかも買いました。アフターコーヒーミントはケースが好きで見つけるとつい勝手しまいます。
今回は砂時計を見つけました。アルミ(たぶん)のボディーに上下にロゴ入りのゴムがつき安定度良好。結構重量感もあります。砂がどうもブラウンシュガーのようです。大きさもパソコンの横に丁度良し。計測時間は4分となっています。
いつも同じ時間を計測するなら複雑なクロノグラフやストップウオッチよりこれが一番(笑)
ちなみに私は時間を計測するのに使ったことがありません。^^; 見つめていると落ち着くんです…ということも…特に無い。ひとつ教えてくれました…機械式時計は重力と戦っているのに、この時計は、重力を見方にしています。だから何!?….重力にス・ナ・オな砂時計です。(これが言いたかった^^;)¥1,050-也。自称時計コレクターなら重力と戦うトゥールビヨウンと重力を見方にした砂時計をセットで如何。(笑)
2016年7月24日追記
この砂時計は今も店頭のコーヒーテーブルの上とか、どこかにあります。結構人気です。
親から子に時計を贈る時。
さっき、お母さんと今度大学にご入学されるお嬢さんとお二人で来店され、お母さんがお嬢さんに時計をプレゼントされました。
親が子供に時計を贈るということは、これからは自分の時間を持ちなさいという特別な意味があるというアランシルベスタインの言葉を思い出しました。お母さんは言葉にしていませんでしたが、お嬢さんには、そんなお母さんの気持ちが伝わっていたような気がしました。
オーバーホールに出す前の確認と心構え。
時計を選ぶときに、ディテールにこだわるのは当然なこと。また買ったときには気づかなくても長いお付き合いしているうちに、「その部分」が妙に気にいってくることや新作を見てこれで良かったと納得することありますね。これを愛着というのでしょうか。機械式時計の魅力の一つだと私は思います。それが、定期的なメンテに出した時に、運悪く「その愛着の部分」が部品がすでにストック切れのため、違うものに変えざるを得ないと宣告さるケースは、ユーザー側にとってもそのことを伝えなければいけない販売した方も、そこにメンテを依頼することを躊躇するくらいショックなことです。
同社のオーバーホール依頼の際、針交換のケースが多く、交換になるかどうかは、実際に作業を進めて外してみないとわからないと見積もりの段階で言われます。進行すると今まではほとんどの結果、交換になっています。写真の90年代初めのモデル(オールドナビタイマー、コスモノート)に使用されていたホワイトのエナメルの針は、すでにアフターには在庫はなく、銀色のマーク入りにのものに変わりブラックの永久秒針、クロノ分集計、時間集針は、ブルーに変わる。ブラックダイヤルに白い針、ブラックのスモセコが計器を彷彿し精悍でここに魅力を感じているユーザーも多いはず..。残念。90年半ば以降のものも永久秒針、クロノ分集計、時間集針の形状が変わるものがあるのでご注意。
カレンダーの調整(早送り)
(1)リューズを一段引いて早送り。
現在最も多いタイプです。ほとんどは、リューズを引いて一段目にカレンダー、二段目に時刻調整ですね。ゼニスのエルプリメロはが逆になってます。またエリートは日付を進めることも、バックすることもできます。
(2)コレクターによる早送り
コレクター、プッシュボタンを押して進める方式。コレクターの場合、金属製の専用のピンで押したりしますが、爪楊枝なんかも便利だったりします。
(3)長針を進めて早送り。
時刻調整のリューズポジションで針を進め12時〜1時でカレンダーを進め、今度は針を11時〜8時ぐらいまでバック、これを繰り返して日付を進める方法。ノモスのタンジェント・ディトやジャガールクルトノのCal;918が搭載されているコンプレッサーメモボック、レベイユはこのタイプです。何時まで進めて、何時までバックするかはキャリバーによって違います。また多少個体差はあるようです。
(4)短針を進めて早送り。
GMT機能付きに多いタイプです。リューズを一段引いて独立して動く短針を進めて日付を早送りします。
ロレックスのGMTマスターII,ジャガールクルトのマスターホームタイムなんかそうです。
(1)と(2)の調整の方法の場合、時計が示す時間がカレンダーが変わる午前0時前後3時間でないことを確かめないといけません。この時間帯に早送りをすると機能を損傷する可能性があります。たとえばカレンダーが変わらないとか、変な時間に変わるといった症状です。ナイト&ディ針や24時間針がない場合は、午前・午後の判別ができないのでダイヤルの上半分に短針がある場合は、調整しない方が無難です。その場合、針をぞらしてから早送りをしましょう。以前ゼニスのセミナーの際に、スイスの技術者はダイヤルの上半分の時間帯をデンジャラス・ゾーンと呼んでいました。(3)と(4)はちょっと面倒な感もありますが、デンジャラス・ゾーンはありません。いずれにしても早送り調整は、ゆっくりされたほうが機械にやさしいと言えます。