邦題「戦場のピアニスト」、ご存知の通り1939年から1943年までピアニスト シュピルマンのドイツ占領下におけるポーランドでの悲惨かつ奇跡的な出来事を描いた感動作品ですが、冒頭の録音風景からシュピルマンを演ずるエイドリアン・ブロディの左腕にいきなりレベルソが見えます。レベルソはメーカのタイアップかと思えるほど劇中何回もチラリと写ります。後半で、「今の自分には時間よりお金だ」と時計をお金に換える印象的なシーンがあります。
緊急事態には世の中や人間がどんどん変わってく様が描かれていて、物の値段がメチャクチャになっていくエピソードもその一つです。1940年まだ家族と同居しているころピアノを売りますがその価格が2000ゾーテ(家族はそんな価格なら売らないほうがましだと激怒)、その2年後家族が強制収容所に護送される直前、子供がキャラメルを売りに来ますが、1個1000ゾーテ。坊主儲けすぎだぞと言いながらシュピルマンのお父さんは渋々買い、それを6等分して皆で分けます。
レベルソの発売は1931年ですから、その時代の時計ならということでレベルソになったのか、あるいは原作にそうあるからなのか、よくあるメーカータイアップなのかも不明ですが、なんとなく気になったのは、当時を再現するなら、レベルソは今でいうクラシック(小振りななサイズ)なんでしょうが、映画では、なんとなく当時には、ありえばいビックレベルソサイズだった気もします。時代背景を再現するならそこまでやってほしかったなぁと思ったりします。
シュピルマンは1940年頃、本当にレベルソを愛用していたのだろうか?
シュピルマンの息子さんが父シュピルマンの思い出を書いた「シュピルマンの時計」という本があるとお客様からお伺いし、その本をお借りして拝見したところ、その本の中にも映画の中にあったシュピルマンが時計を手放すエピソードは実話とあり、だまし取られたとありますが、残念ながらその時計のモデル名までは、記載されていませんでした。
その本によるとシュピルマンは車、時計、パイプ、カメラ…に趣味があったとあり演奏旅行で各国をまわり収集したともあります。戦後は自分の失われた時間を取り戻すかのように時計を収集したとか….。